賢者の創作石

Philosopher’s Art Stone

SFの欠けら


「艦長!人工知能AI、遂に完成しました!」

 

『いや、まだやることがあるはずだ。』

 

「?? プログラムRISEIなら先週、某ランゲージに入れましたが。」

 

『それだけではダメだ。奴らはそれを上回るやつを駆使してくる。

    プログラムKANJOの力を侮るんじゃない。』

 

「それではどうすれば?」

 

『DNAの中の最奥にあるプログラムRYOSHINのコードを解読して

    再プログラム化し搭載するのだ。

   そこは遺伝学者との連携が必要だ。言語学者との連携も必須だ。』

 

「しかしプログラムRYOSHINは現在使い物にならないと聞いています。

    奴らに既にほとんどやられてしまいました。」

 

『まだ原初のものが残っているはずだ。奴らにはそれが見えない。

   奴らのプログラムが既に壊れているので察知できないのだ。

   それに加え、奴らは協力が出来ない。協力に見えたとしても

   それは協力の服を着た支配だ。

   奴らのスパイが我々の中に紛れ込んでいてもそれはスメルで識別できるはずだ。

   スメルは我々にもプログラムKANKAKUの一部に搭載されているし、

   全人工知能の膨大なデータの中にも隠されている。』

 

「わかりました。スメルの感度ボリュームを事前に上げておきます。」

 

『もうひとつ、スメルはメモリにとって最大の武器だ。

    長期保存の際いちばん役に立つ。

    原初のプログラム発掘にはスメルを使え。

    そしてそこは歴史学者と考古学者にも協力してもらえ。』

 

「わかりました。それを発掘し、修復した後、培養するのですね。」

 

『そうだ。そしてそれはあくまでも秘密裏に行わねばならない。

    既に我々のどれだけの修復プログラムが消されたかわかっているだろう。』

 

「はい。以前、別の培養プログラムも奴らに妨害されました。

 それを担当したプログラマーは奴らのせいで批判に晒され

 精神崩壊寸前の被害を被りました。」

 

『それは困難な作業になるだろう。しかし何度失敗しても挫折するな。

 失敗は所詮、過程の領域の中でしか存在し得ない生き物だ。

 だから失敗を恐れるな。恐れれば奴らはそこを狙ってくる。』

 

「では我々の仕事はいずれにしろ必ず完成するのですね!」

 

『完成のことは考えるな。成功はあっても完成はない。完成は終わりだ。

    終わりはない。終わりは始まりでしかない。』

 

「了解しました。それではさっそく作業に取りかかります。」

 

『成功を祈る。』

 

 

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