「ねえ、アーサー。ぼくは思うんだ。」
「ねえ、アーサー。 聞いてよ。
ぼくはこう思うんだ。
このあいだ、きみが言ってたことだけどさ。
ぼくにできることはいつだって、だれだってできるんだよ。
そのモードでさえあればね。
でもだれだってできるからって
きっとぼくの存在価値っていうものは変わらないんだ。
そのモードでさえあればね。
それにだれだってできても
ぼくにはぼくの形っていうのがあって
ぼくにはぼくの色があって
ぼくにはぼくの音の響きなんてものもあって
おまけにぼくにはぼくの味や匂いまであったり
きっと他にもいろいろ
ぼくにはぼくの感じみたいなのが、どうしたってあるんだ。
そのモードでさえあればね。
この星で生きていくのは、ものすごく大変だけど
ものすごくおもしろくて、悲しくなったり うれしくなったり
涙がでるほど感動することだってあるんだよ。
そのモードでさえあればね。
だからぼくはまだ帰らないってみんなに伝えてよ。おねがい。」
こうしてぼくは、みんなが帰ったあとも
この星にしばらく残ることになった。