賢者の創作石

Philosopher’s Art Stone

「ねえ、アーサー。ぼくは思うんだ。」

 

「ねえ、アーサー。 聞いてよ。 

 

 ぼくはこう思うんだ。

 

 このあいだ、きみが言ってたことだけどさ。

 

 

 ぼくにできることはいつだって、だれだってできるんだよ。  

 

 そのモードでさえあればね。

 

 

 でもだれだってできるからって

 

 きっとぼくの存在価値っていうものは変わらないんだ。

 

 そのモードでさえあればね。

 

 

 それにだれだってできても

 

 ぼくにはぼくの形っていうのがあって

 

 ぼくにはぼくの色があって

 

 ぼくにはぼくの音の響きなんてものもあって

 

 おまけにぼくにはぼくの味や匂いまであったり

 

 きっと他にもいろいろ

 

 ぼくにはぼくの感じみたいなのが、どうしたってあるんだ。

 

 そのモードでさえあればね。

 

 

 この星で生きていくのは、ものすごく大変だけど

 

 ものすごくおもしろくて、悲しくなったり うれしくなったり

 

 涙がでるほど感動することだってあるんだよ。

 

    そのモードでさえあればね。

 

 

 だからぼくはまだ帰らないってみんなに伝えてよ。おねがい。」

 

 

 

 こうしてぼくは、みんなが帰ったあとも

 

 この星にしばらく残ることになった。

 

 

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