久 之 謡ヒ
雨こんこん 夜笛の響
幽かなり 聞こゆ
冬枯れの 響き追ひて
生くるも死するも おなじき源 鬼船屋形
平の海人船 沖つ真櫂漕ぎ出でぬ
梅の花に栄ゆるも 松の枝にかぎろひも
無常流転 炎円環
称へ給へ 朝栄え
称へ給へ 夕映え
かくのごとく 宣ひける
かくれんぼ "KnockーKnock."
想像のままに "Whose there? "
燕(ツバクラメ) 巣つくれり
情け見ゆ イニシエの銀(シロカネ)
巡り巡りて春夏秋冬 夕月夜の儚きかな
暁闇の悲しきかな 暁露の美しきかな
よりどころにあらむ 常なり
佳きに衛らるる 祖(オヤ)に衛らるる
アメツチに衛らるる 彩之里 徒より上り給へかし
袖笠雨の 笠宿り
雨こんこん
夜笛の響