松ぼっくりころりん
ある家に住んでいた時
庭は背の高い古い松の木に囲まれていた。
空を見上げると真ん中だけポッカリ穴が開いていて
その真ん中に月が鎮座することがよくあった。
なんとも美しい景観だった。
それらの松の木からは当然、松ぼっくりが昼夜構わずボコボコ落ちてきた。
落ちてきた松ぼっくりの中にはかなり固いものもあったのを憶えている。
そしてそこには赤ん坊も住んでいた。
落ちてきた松ぼっくりが頭に当たって
少なくとも大怪我をする確率はかなり高かったと思う。
事実、すぐ横に落ちてヒヤっとしたこともある。
でも…
間違いない。
松ぼっくりは落ちる場所を選ぶ。
その家に住んでいた時 そう確信した。
(ちょっとアホらしい気も一応はしなくもないが)