story が産まれる夜明けに
そうして赤ん坊が産まれる黄昏に
馬の蹄(ヒヅメ)の音と伴に 中世の騎士が到着する
「誰がために?」
「なにゆえに?」
「我は黄昏のために」
永遠の眠りから目覚め
追憶の底から湧き上がる
この馬は 我の馬
この剣(ツルギ)は かの蔓(ツルギ)
この杯(サカズキ)は 誓いの盃(サカズキ)
中世の騎士は 古(イニシエ)のナイト
馬の頭に 冠を置く
柱には 徴(シルシ)が
「さあチェスをしよう」
「やり方がわからない」
「想い出せばいいだけだ」
「それはそうと あなたは誰?」
それは夜深け(ミッドナイト)の幻
そうして暁の会話は終わり チェスが始まる
はて 馬の頭はどこにあったか………
あ!
「はじめの いーっぽ」
おさなごの あそぶこえがする
ことりの歓喜
深い森が.......
消えた!
しかし story は永遠に続く ......
「生まれる」(記憶を取り戻す探偵 3)
Sense of Wonder センス・オブ・ワンダー
居心地のいい洞窟から 息苦しくて
狭くて長くて暗い苦難の道を 少しずつ進み
どこに向かっているのかもわからない。。。
一筋の光が差した! と思ったら大きな手に掴まれ
いつのまにか ここは新しい光の眩しい世界
なんだかこっちを やさしそうに見ている目、顔に囲まれ
やさしそうと思った瞬間 逆さに吊るされてお尻を叩かれ
ショックで泣きまくっているうちに すうーっと息が入ってきて楽になって
気がついたらまたやさしそうな顔が見えたり ここはいったい。。。
生まれた時の私はそう感じたに違いない。
不思議なものや よくわけのわからないものを
受け容れる用意のある器は 果てしなく大きかったに違いない。
キャパシティは 無限大だったに違いない。
生まれたばかりの私は 言えないけど おぼろげながら
「この世界は驚きと奇跡に満ちている」
そう感じることができたに違いない。